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なぜ金魚はすぐ死んじゃうの?金魚の飼い方~基本編~

金魚と言えば、金魚すくい。
しかし、持ち帰った金魚がすぐに死んでしまい、悲しい思いをしたことがあると思います。
お子様が飼いたい!というから飼ったけれど…
すぐに死んでしまい、お子様号泣。
なぜ金魚はすぐに死ぬのか。
理屈がわかれば簡単です。
疑うあなた、まずは読んでみましょう。

  1. 金魚の品種について
  2. 私たちがよく見る金魚は、全部赤ちゃん
  3. 金魚が小さな容器で飼えない理由
  4. 金魚の死因、NO.1は酸欠
  5. ホームセンターでなく、アクアリウム専門店で購入してみたら?
  6. 初めての金魚飼育セットでも飼えなくはない
  7. 今まで平気だったのに、なぜ急に具合が悪くなるの?
  8. 本末転倒、金魚を飼う人あるある
  9. なぜ流れの弱いセットが金魚セットとして売られているの?
  10. まとめ

【金魚の基本情報】

金魚はペット用の改良品種、もとはフナのような魚です。
今でもフナと交配できるほど、生物的に近い品種のお魚です。
ちなみにフナと交雑した鮒金(フナキン)と呼ばれる品種もいます。
普通の金魚より頭が丸くてかわいいです。

寿命は10年以上で普通、20年はよく聞く、30年というのもまれにいます。
結構長生きする生物です。
サイズ約20㎝、たい焼きぐらいの大きさは普通です。
まれに30㎝近いパワフルボディのもいます。

つまり。
「うちの金魚、20㎝ぐらいになってフナみたいなの」
「うちの金魚、もう10年以上生きているのよ」
これ、普通です。
でも皆さまそれを聞いて「わぁ!すごいですね!」と言います。
金魚を飼ったことのある人のほとんどが、そこまで生かせていないという事です。
ではなぜ、金魚はすぐに死んじゃうの?

1.金魚の品種について

和金、琉金、出目金、オランダ獅子頭、ランチュウなど。
金魚の品種は30種類以上あります。
しかし、生物学的に言うとすべて同じ品種、金魚です。
犬や猫も様々な品種がいますが、全て同種なので雑種が生まれます。
生物学的な種類というよりは、見た目に対して人間がつけた名前です。

一度に何千個も卵を産む金魚さん。
産まれた子供たちには、様々な見た目の個体がいます。
その中で金魚すくいにまわされる個体から、品評会優勝クラスまで混ざっています。
普通のお魚みたいな尻尾と、ヒラヒラの尻尾。
背びれがあったり、なかったり。
胴が丸かったり長かったり。
頭に肉瘤(コブ)があったり、なかったり。
それぞれに可愛いものです。

2.私たちがよく見る金魚は、全部赤ちゃん

まず失敗の原因、第1はこれです。
「赤ちゃん可愛い!」と購入して、大人になった時のことを考えていません。
最終的には20㎝ぐらいになる金魚たち。
あなたの設備は20㎝の金魚を飼えますか?
1匹飼うのに、45×30×30㎝(約35L)ぐらいの水槽が必要です。
一回り大きい60×30×36㎝(約56L)でも、せいぜい2匹。

でもさ、日本では昔から金魚鉢で金魚を飼えているじゃない?
これも歴史を知ると少し違います。
金魚鉢はお客様などが来る際に涼しさを演出するものです。
一時的に床の間などに飾る入れ物で、飼育する容器ではありません。

床の間に立派な盆栽が飾られていることもありますが、こちらも同様です。
松の木などの盆栽は屋外、直射日光を浴びないと光合成ができなくて枯れてしまいます。
こちらも普段は外で管理して、お客様が来る時だけ一時的に室内に飾ります。
「盆栽かっこ良いなあ」と観葉植物のように室内のみで管理することは不可能です。

少し話はそれますが、では観葉植物も盆栽同様に木なのに、なぜ室内で平気なの?
観葉植物の生まれ故郷は、赤道直下の熱帯雨林です。
そのジャングルに入り、上を見上げてみます。
大きな木の葉が広がり、地面まで届くのは木漏れ日だけです。
だから観葉植物は日陰、すなわち室内でも光合成をして育つことが可能です。
逆に真夏の直射日光を浴びせると、葉が茶色くチリチリになって葉焼けを起こしてしまいます。

3.金魚が小さな容器で飼えない理由

魚が死ぬ理由は、だいたい酸欠・水の汚れからくる病気、栄養失調などです。
小さな容器で飼っていると、酸欠と汚れが大きな死因となります。

まず、入れ物の大きさは関係なく、栄養失調は想像がしやすいと思います。
複数の魚を飼育していると、どうしても強い・弱いが出てきてしまいます。
そして強い個体がエサを独り占めして、弱い個体がエサにありつけず死んでしまうことがよくあります。
エサにありつけない個体は痩せてしまい、ますます弱ってエサを食べられなくなります。
痩せた魚を発見したら別の器に移し、しっかりエサを食べさせましょう。
早い段階で発見して充分なエサを与えることができれば、1週間ほどで回復すると思います。

汚れも、分かりやすいと思います。
小さな容器で水の量が少なければ、汚れるのも早くなります。
こまめに水を換えて、汚れを薄めてあげましょう。
なお、汚れと言えばウンチと思いがちですが。
そのウンチを食べる目に見えない微生物たちも増殖します。
身の回りに微生物がウジャウジャいる環境を想像してみてください。

私たちサイズでいうところのハエ、ノミ、ダニ、蚊などがお部屋の中にウジャウジャ。
すごくストレスになってお魚たちが弱ってしまうのは、想像がつくと思います。

一番想像しにくいのが、酸欠です。
酸素は目に見えません。

4.金魚の死因、NO.1は酸欠

人間は食べ物がないと3週間ほどで死に至ると言われています。
水がないと3日間。
酸素がないと、なんと3分ほどで死に至ります。
とても大切な酸素ですが、目に見えません。

空気中の酸素は約21%です。
水中に溶け込む酸素は約2~3%ほどと言われています。
水面から溶け込んだ酸素は、流れがあることで全体にいきわたります。
金魚鉢などの流れのない環境では、すぐに酸欠になり魚が水面でパクパクしてしまいます。

一度実験したのですが、朝9時に金魚鉢に入れた赤ちゃん金魚は17時頃には水面でパクパクしていました。
一日に数回、水を全部取り換えれば生かしておくことは可能だと思います。
しかし、手間がかかるし金魚たちにとっても快適な環境ではありません。
まずは流れをつくり、酸素を全体にいきわたらせましょう。

5.ホームセンターでなく、アクアリウム専門店で購入してみたら?

お店でよく売られている「初めての金魚飼育セット」など、全て小さすぎです。
そして流れが弱いチャチなろ過器がついています。
ちゃんとした専門店でも、そのようなセットが普通に売られています。
それで金魚を飼おうとしても、酸欠ですぐに弱ってしまいます。

専門店スタッフに聞いても「水質が」「バクテリアが」「この薬を使えば」などの話ばかり。
言われたとおりにしたけれど死んでしまったら、「金魚は弱いから」なんて言ってみたり。
酸欠のことを教えてくれるスタッフは少ないように感じます。

私がアクアリウムショップで働いていた際、酸欠のご案内をするとすごく喜ばれました。

・長年病気がちで、うちの金魚は弱いと思っていたけれど、流れを増やしたら病 気にならなくなった。
・水がなんとなく白っぽく濁っていて、どんよりしていたのが透明になった。
・金魚が下の方でじっとしてあまり泳がなかったのが、元気に泳ぐようになった。など。

お客様に「酸欠です」とご案内しても、「そんな訳ない!」と疑われることが多々ありました。
長年金魚を飼育している人、金魚を品評会に出している人などでも、その反応です。
そして騙されたと思って…と流れを増やしてもらった結果が、上記の感想です。
なお、流れを足したけれど直らなかったという方もいました。
いやいや、もっともっと、思っているよりもーっと足してみてください。
それでお悩みが解決して、奇跡のように驚かれたことがあります。

専門店スタッフが酸欠、基本に考えがおよばないのも納得がいきます。
そんな訳ないという、先入観があるようです。

6.初めての金魚飼育セットでも飼えなくはない

ホームセンターで購入した簡単セットで、数年金魚を生かしている人もいます。
こまめに水を換えて、可愛がっていらっしゃるのでしょう。
小さな入れ物で飼育しているからといって、ダメな人ではありません。
本当に生き物が好きで、一生懸命お世話をされています。
問題なのは、正しい知識がネットや専門店で得られないことだと思います。

金魚を飼育して3年目だけれど、最近なんだか調子が悪い。
水に透明感がなく、魚もじっとしている。
まさに初期の酸欠の症状です。
お店で「こまめに水を換えてみてください」と言われ、その通りにして。
水替え直後は元気になったように見えるけれど、数時間後にはまたぐったり。
水を換えると一時的に溶存酸素が増えますが、それを使い尽くせばまた酸欠です。

酸欠だと水面でパクパクする、というのが有名です。
しかし、これは急激に酸欠になった場合です。
人間でいうと密閉された空間に閉じ込められたけれど、少し風が通る穴が開いている感じです。
その穴に口を近づけてスーハースーハー、その場から動くことができません。

おなじく、密閉された空間に閉じ込められたけれど空気は少し通っている。
しかし人間が活動するほど十分ではない場合、下の方でじっとしている金魚と同じような状態になります。
座り込んで動くことができずに、グッタリゼェゼェ…。快適とはいえません。
酸素の薄い標高の高い場所に行って高山病になった場合も、同じような感じかもしれません。
頭痛い、動きたくない、食事は少しなら、という状況。

酸欠の場合、エアーポンプや水中ポンプを追加して流れを増やせば、30分ほどで元気になります。
即効性があるので「今まで自分は何を悩んでいたんだ!」と目から鱗のお客様がたくさんいらっしゃいました。

7.今まで平気だったのに、なぜ急に具合が悪くなるの?

小さな金魚飼育セットで数年飼って、こないだまで平気だったのに。
エサ、水替えの頻度もずっと同じで今までやってくることができました。
なのに、なぜ急に?
「金魚、大きくなっていませんか?」と聞くと、ほとんどの人が「あ!」と言います。

最初にも書きましたが、売られている金魚は赤ちゃんです。
飼育していれば、どんどん体が大きくなってきます。
体が大きくなれば、食べる量、排泄物の量、そして必要な酸素の量も増えていきます。
そしてある日、飼育設備の限界を超えて体調を崩してしまいます。

体が大きくなれば、使う酸素の量も増えます。
酸素消費量は、体積比です。
1㎝四方の立方体、サイコロを想像してください。
その体積は、1×1×1で1㎤です。

じゃあ、1辺が2㎝のサイコロの体積は?2×2×2で8㎤。
1辺の長さが2倍になったら、体積は8倍になりました。
つまり、金魚すくいの2㎝の金魚が成長して2倍の4㎝になったら。
体積は8倍、2㎝の金魚8匹分です。

その金魚飼育セットは、2㎝の金魚を8匹も飼える設備ですか?
一回り大きくなったなぐらいで、体積は2倍以上になっていると感じます。
というわけで、金魚をせいぜい10㎝弱で死なせてしまう人が多いと感じます。
だからきちんと大人になって20㎝ぐらいまで成長した金魚を見て「大きい!」と驚きます。

ちなみに2㎝の金魚が20㎝になったら、長さは10倍です。
体積は10×10×10で、なんと1000匹分!
しっかり流れを作って、水に溶け込む酸素を増やしてあげてください。
売られている金魚がいかに赤ちゃんで、どれだけの数が大人になる前に死んでいるか。

とはいえ、1度に何千個の卵を産む金魚。
自然界では捕食などにより、その中の数匹が大人になれるだけなので。
どっちもどっち?何が正解なのかは私もよく分かりません。

8.本末転倒、金魚を飼う人あるある

金魚の酸欠に気付いてから、色々なことで本末転倒だなと感じることがあります。


【ケース1】「どうせ何匹か死ぬから、最初は多めに飼っておく」

ここまで読んだ方ならわかると思いますが、金魚は成長とともに体が大きくなります。
そして酸欠やエサの取り合いで弱い順に死んでいき、最後は1~2匹しか残りません。
その設備で飼える限界が、1~2匹ということです。
ならば最初から、1~2匹にしておけば良いと思います。
大きな水槽で赤ちゃん金魚1~2匹じゃ、なんだか寂しい?大丈夫、すぐに大きくなります。
金魚が大人になった時のことを考えて、飼育する数を決めましょう。


【ケース2】どうせ死ぬから、簡単な設備で良い

子供が金魚すくいで持ってきちゃった。
どうせ死ぬからお安いセットで良いわ。
先ほども少し触れましたが、お安いセットは小さく流れの弱いセットです。
何匹の金魚がいるのかは分かりませんが、そのセットでは酸欠で死んでしまう可能性が上がります。
生かしておきたいのなら、きちんと流れのある設備を整える。
別に…というのなら、バケツなどにポイっと入れておいてもさほど変わりません。

金魚すくいの金魚は真夏に狭いところにウジャウジャ入れられて、追いかけまわされて。
そもそも致命的なほどに弱っていることがあります。
どちらの飼い方を選択するかはあなた次第。
バケツにポイっとする人を、責めるつもりはありません。

【ケース3】流れが強いと金魚が疲れて弱る

これ、ここ数年メジャーになった言葉です。通称「洗濯機状態」
誰が言い出したのか知りませんが、アホかいなと思います。
弱っている魚が流れに負けて漂っていることがあります。
元気な魚は流れがあっても、シャキッと自分のペースで泳ぎます。

何らかの理由で弱っているから流されているのであって、そのなんらかの理由が酸欠だったら?
酸欠で弱っているところに「流されている」と流れを弱めてしまったら、もっと酸欠になります。
とどめを刺すようなものです。

流れはしっかり作ったうえで、流木や土管などを入れて休める場所を作ってあげましょう。
なお、どの魚も流木などの隙間にはまって出られなくなる事故があります。
流木を入れる際は形をよく吟味して、魚がはまりこむ隙間のないものを選んであげてください。

9.なぜ流れの弱いセットが金魚セットとして売られているの?

私もこれは、ずっと思っています。
アクアリウムイベントの際、白く濁ってグッタリ泳がない金魚の展示水槽がありました。
そこにエアーポンプで流れを足し、30分ほどで水が透明になり元気に泳ぎだす金魚をメーカーさんに見せて。
「ね?酸欠だったしょう」と見せてあげたこともあります。
なお、メーカーさんは水が白く金魚の元気がないのは「設置したばかりでバクテリアが整っていないから」と言っていました。

今から30年ほど前に、アクアリウムブームがありました。
私が子供のころは、ほとんどの家に水槽があってメダカや金魚、亀などが飼われていました。
最近は魚を飼う人が減っていて、何故だろうと大手メーカーがアンケートを取ったところ。
飼いたくない理由が「音がうるさい」だったそうです。

そして音がうるさくならないよう、流れの弱いポンプをおすすめするようになりました。
流れが弱いから酸欠で魚を上手に飼えず、「難しいね」とせっかく興味を持った人が離れていく。
全て私の推測ですが、そんな負のループに陥っているように感じます。

10.まとめ

金魚は大きくなる魚です。
チワワとセントバーナード、どちらが飼うのが簡単かと言えば、小さい方です。
初めてだから簡単な金魚でという人が多いのですが、実は金魚は体が大きいので大変です。
初めての人には、メダカやネオンテトラなどの小型魚をおすすめします。

金魚などの大きな魚の方が、表情が見えてかわいいところもあります。
飼い主さんをちゃんと観察して、懐いてくれる個体もいます。
水槽に手を入れると、猫のようにスリスリしてきたり。
水槽をのぞきこむと正面に来て見つめあったり。
水面を「バチャっ!」として飼い主さんを呼ぶ金魚の話も聞いたことがあります。

金魚は飼うのが難しいというよりも、設備が大掛かりになります。
よく「簡単に魚を飼いたい」という人がいますが、どちらの簡単か考えてみてください。
設備を簡単にすると、日々のお世話に手間がかかります。
設備を整えると、日々のお世話が簡単になります。
同じ「簡単」なのに180度異なります。
お店で設備を整える際は、あなたの本気度をしっかり伝えてみてください。

生き物好きは、みんな友達!
これからも、ネットのコピペではなく自分の実体験をあげていきます。
楽しんでいただければ幸いです。


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